引きこもり時代

またもや収入が途絶えることになったが、
デザインやイラストが
面白くなってきたときだったので、
親不幸にも実家から仕送りをしてもらって
東京での暮らしを続けることにした。
月々3万円をマックのリース代に
あて、毎日アパートに引きこもって
マウスとキーボードを操作して絵を描き続けた。
親に月々18万円も送ってもらっていた引け目もあり、
とにかくイラストの仕事が欲しくて欲しくて、
売れるためならなんでもやると、
次から次へとマックで
いろんなタイプの絵を生み出していった。


いくつか納得のいくものが出来ると、
雑誌社などに絵を持ち込んで見てもらう。
しかし、飛び込みでやって来た
無名のイラストレーターへの対応は温かいはずもなく、
たいていの編集者は、煙草を吸いながら興味なさそうに
パラパラと絵を眺め、
「これとこれコピー取らせて。
なんかあったら連絡するから」とだけ言って、
自分の席に戻っていった。
いくつかの雑誌社を回ったが、
そう言われて電話が鳴ることは一度も無かった。


イラスト:久保誠二郎 文:石川勝己



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