新宿歌舞伎町

専門学校を卒業したぼくは、
キャラクターデザインをやりたいと自ら就職先を探し、
飛び込みでゲーム会社のタイトーの試験を受けた。
結果は見事に合格。
再び上京してアパート暮らしを始め、
ここから新たな生活が始まると胸を高鳴らせたが、
配属されたのは
なぜか歌舞伎町のど真ん中にあるゲームセンター。
制服姿でコインを補充したり、
灰皿を片づけたりという仕事だった。


そこはポン引き、ホームレス、
ヤクザ、スリなどの溜まり場で、
酔っぱらい同士のケンカや、
いいがかりのような苦情の対応に追われる毎日。
怖い思いをしながらも、
なんとか踏みとどまっていたのだが、
同僚がチンピラに絡まれて刺された次の日に、
あわてて退職を願い出たのだった。

二度目の東京での生活も思うようにはいかず、
福岡に舞い戻ることになった。
悶々とした日々を過ごすなかでふと思い立って、
以前お世話になった専門学校時代の先生を訪ねた。
今の状況を話すと、
大学の教授をしておられる先生の旦那さんが、
青山にあるデザイン事務所を紹介して下さった。

ずいぶん回り道をしたが、
22歳にしてやっと
デザインの現場に立てることになった。


イラスト:久保誠二郎 文:石川勝己



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